宅建は役に立たない?将来性や良い意見や否定的な意見も

宅建とは、宅地建物取引士のことを一般的に意味します。この資格は、不動産取引の専門家として位置付けられています。ただし、宅地建物取引士試験(以下 宅建試験)との区別を明確にするため、宅建士と呼ばれることもあります。

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出典:出版社HP

 

宅建士は要らない?

 

近年のAIの急速な発展などにより、宅建士の仕事が無くなる、という主張が見受けられるようになっています。実際、ブロックチェーンを活用して取引を効率化させる取り組みなどもあり、不動産取引の仲介の意義が問われ始めているようにも思います。
そこで、現在の宅建士の役割を振り返り、今後宅建士が本当に要らなくなるのかを検討してみたいと思います。

宅建士には独占業務がある

宅建士は、現在人気の高い国家資格ですが、その理由の一つに独占業務があることが挙げられます。言い換えれば、宅建士でなければ行うことができない業務があるということです。具体的には、

①重要事項の説明
②重要事項説明書(35条書面)への記名・押印
③契約書(37条書面)への記名・押印

の3点が宅建士の独占業務です。宅地・建物の取引の契約を結ぶ際に、必ず必要になる手続きが独占業務となることが人気を得ている理由の一つと言えます。

 

・宅建士の設置義務

宅建士のもう一つのポイントとして、宅建士の設置義務があります。宅建業者には、社員の5人に1人の割合で宅建士を設置する義務が課せられています。この義務のため、宅建業者には、宅建士の需要が安定して存在しています。就職や転職に役立つと言われる理由でもあり、宅建士を目指す方が多いことも理解できます。

・宅建は役に立たない?

現在は人気が高い宅建ですが、宅建に否定的な意見もいくつかあります。その理由としては、主に

①資格による差別化にあまり期待できない
②資格がなくても営業活動はできる
③人口減少や技術の進歩によって、宅建士の業務が減るとする見方がある



といったものがあると思います。
こうした意見をどのように捉えるべきかを考えていきたいと思います。

宅建に対する否定的な意見の検証と宅建資格の良い点

まず、『①資格による差別化にあまり期待できない』です。

この意見は宅建資格の役割を正しく理解していないのではないかと感じます。設置義務があるように、ある程度の人数が取得することが前提となっている資格です。参入障壁があるとは言え、明確な差別化を目指して取得する資格ではないと思います。
もちろん、資格を持つことで一定の能力があることを示すことができますが、宅建資格によって、就職や転職が決定的に有利になると思っている方はあまり多くないと思います。

次に『②資格がなくても営業活動はできる』です。



宅建士の独占業務は、重要事項説明と書面への記名・押印であるため、宅建士でなくても営業活動はできます。そうすると、独占業務は宅建士に任せて、営業活動さえしていれば問題ないという考え方もあります。この考え方は間違っていません。
ただ、宅建士であることによって、

•独占業務を自分で行えるため、手続きをスムーズに行いやすい
•資格手当がつくケースが多い

などのメリットがあります。資格取得のための費用と労力もある程度必要とされるため、メリットとそうしたコストを比較して、取得すべきかを判断すべきかと思います。

最後に『③人口減少や技術の進歩によって、宅建士の業務が減るとする見方がある』です。

将来を正確に予測することは誰もできないため、確実なことは言えません。ただ、宅建の将来性は無いとする主張には雑なものもあり、慎重に考える必要があると思います。

まず、人口減少によって仕事が減るという主張ですが、人口減少は不動産取引の一つの要因に過ぎないため、やや雑な議論だと思います。世帯数の動向や各地で行われる土地の再開発といった大きな他の要因を考慮すると、人口が減少するから取引そのものが確実に減少するとまでは言えないはずです。不動産の流動性を高めようとする施策が行われた場合は、むしろ取引量が増加する可能性もあります。



技術による取引の効率化によって宅建士の業務が減るという主張については、宅建士の資格が無駄になるという文脈で使われやすいです。
確かに、宅建士の業務の全体的な量は確かに減るだろうとは思います。
しかし、仕事が全く無くなるというよりは、宅建士に専門性がより求められ、宅建士間での競争が加速する可能性があると考えられます。

宅建士というと、ただ書類を作っているだけ、という意見があったりしますが、取引の責任を負っている側面を見ると、完全に資格を無くすことは望まれにくいのではないかと思います。むしろ資格を持っていて当然で、より専門的な知識や幅広い知識をもっていることが求められる可能性が出てくるかもしれません。

実際になってみないと分かりませんが、宅建に将来性が全くない、とするのは時期尚早でしょう。

これまで宅建士の将来性を検証しましたが、宅建の良い点についても紹介します。
宅建資格の良い点は、もちろん上記で触れた、独占業務・設置義務や能力の証明もあります。

そうしたことの他に、法律の基本的な知識や宅地と建物の取引の基本的な項目を習得できることが挙げられます。こうした知識や情報は、自分で取引を行う際に判断材料にできるでしょう。
不動産取引では、一般の方があまり知識を持っていないために、問題のある行為が横行しています。そうした状況で、身を守るための知識を得るきっかけにできることは一つのメリットではないでしょうか。

結局はどこに意義を見出せるか

これまで宅建士の役割や将来性、メリットなどを紹介してきましたが、結局は、自分が何に価値を見出しているか、宅建試験を受けるか決める場合、何に意義を感じているかが一番の判断基準になると思います。「業務で必要だから」、「不動産関連の法律や基本的な内容を知っておきたい」などいろいろな目的や思いがあると思います。



宅建を取得したからといって、不動産取引が簡単にできるわけではありませんが、自分にとって宅建資格がどういった存在になるのかを考えて、判断していただきたいと思います。

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出典:出版社HP

 

 

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