日経TESTの過去問・サンプル練習問題無料(日経テストの一問一答) – part2
Q1
日本経済に関する数字で、(A)は(B)の3倍強にあたる。当てはまる組み合わせはどれか。
1A=国と地方の借金B=GDP(国内総生産)
2A=GDP B=国の予算
3A=家計の金融資産 B=国と地方の借金
4A=家計の金融資産 B= GDP
A=4
キーワード・家計の金融資産、国と地方の借金
経済の大きな姿は、具体的な数子のボリュームを伴って理解すると、つかみやすくなります。「関連付けて覚える」のがコツです。
日本の経済規模を表す国内総生産(GDP)は、名目の年額でおよそ550兆円。これを物差しにすると、国の予算はおよそ100兆円(2020年度予算案102兆6580億円)と5分の1弱。国と地方の借金はおよそ1100兆円(19年度末予算ベース残高1122兆円)と約2倍です。
最も大きいのは家計が保有する金融資産の残高で、1800兆円超(2019年9月末残高1864兆円)と、3倍強に当たります。
家計の金融資産残高には家計が保有する株式や投資信託が含まれ、株価により評価額が変動します。金額は日銀が3カ月ごとに発表する資金循環統計(速報)で分かります。
Q2
「景気動向指数」を構成する次の経済指標のうち、景気の動きを最も遅れて反映するのはどれか。
1新設住宅着工床面積
2東証株価指数(TOPIX)
3法人税収入
4有効求人倍率
A=3
キーワード・景気動向指数
内閣府が発表する景気動向指数は、景気の動きを先取りする「先行」系列、ほぼ同時に動く「一致」系列、そして遅れて反映される「遅行」系列の29の指標で構成されています。選択肢のうち「法人税収入」は、企業。の決算で確定した利益から納める金額なので、最も遅れて景気の動きを映す「遅行」系列とされています。
建設工事や資材・家具、引っ越しなどの需要増につながる新設住宅着工床面積は「先行」系列。投資家は景気や企業業績を先読みして株式を売買することが多いので、東証1部上場株式の時価総額の動きを指数(TOPIX)も「先行」系列です。
雇用関係の指標については、先行=新規求人数、一致=有効求人倍率、遅行=完全失業率という関係になります。
Q3
1人当たり国内総生産(GDP)が10位以内に入っている国はどれか。
1中国
2ドイツ
3日本
4 アイルランド
A=4
キーワード・1人当たりGDP
1人当たりGDPは国民の豊かさを示す目安です。「1人あたり」なので人口が少ない国・地域が上位に並びます。国際通貨基金(IMF)の2019年10月時点のランキング(入門解説28ページ)ではルクセンブルク、スイス、マカオ、ノルウェーに次ぎ、アイルランドが5位でした。
アイルランドは面積は北海道よりやや小さく、人口も約490万とうやはり北海道よりやや少ない規模の小国ですが、首都ダブリンには情報技術(IT)や金融のグローバル企業が進出しており、英国のEU離脱(ブレグジット)後はロンドンから拠点を移す企業も多いとみられます。武田薬品工業が買収したシャイアーなど世界の製薬大手も立地します。
GDPの総額で世界1位の米国は、1人当たりでは9位。2位の中国人1人当たりでは72位。3位の日本は26位、4位のドイツは18位でした。
Q4
日本の中小企業やその起業について、正しい記述はどれか。
1中小企業基本法で資本金1000万円以下の会社と定義されている。
2日本の全企業のうち、総数で8割を占める。
3法人税率は所得金額にかかわらず大企業と同じである。
3一般的な株式会社は資本金1円で設立できる。
A=4
キーワード・中小企業
中小企業の定義は中小企業基本法で定められていますが、業種によって異なります。製造業は資本金3億円以下または従業員300人以下、小売業は同5000万円以下または同50人以下、サービス業は同5000万円以下または同100人以下です。企業数は約358万社と、日本の全企業の99.7%を占めます(中小企業庁集計の2016年時点)。中小企業の法人税額は、所得金額800万円までは軽減税率が適用されています。
2006年に施行された会社法で、それまで株式会社は1000万円だった最低資本金制度が撤廃され、一般的な株式会社の設立は資本金1円でもできます。ただし設立登記などの法的手続きにはおよそ25万円の費用がかかり、「起業のしやすさ」の国際比較で日本の順位が低迷する一因と指南されています。
Q5
日本銀行について、正しい説明はどれか。
1民間金融機関の規制・監督も行う政府の一機関である。
2日銀法で金融政策の目的を「経済成長の促進」と定めている。
3保有する国債は直接、政府から購入したものである。
4総裁・副総裁は国会の同意を得て政府が任命する。
A=4
キーワード・日銀
金取引の相手方
機能はありますが、 1本銀行の金融政策 が安定的かつ持続
日本銀行は政府から独立した「中央銀行」です。当座預金取引の相手方である民間金融機関の経営実態を把握する「考査」の機能はありますが、規制・監督を行うのは、政府の金融庁です。日銀法で日本銀行の金融政策の目的としているのは「物価の安定」で、これを「経済が安定的かつ持続的成長を遂げていくうえで不可欠な基盤」と位置付けています
日銀が政府から直接、国債を購入する「直接引き受け」は財政法で禁じられています。いったん国債の引き受けで政府への資金供与を始めると「財政節度」が失われ、悪性のインフレを引き起こすためで、先進各国の中央銀行が共通して制度的に禁じているものです。
総裁・副総裁と審議委員は衆参両院の同意を得て内閣が任命します。金融政策決定の仕組みについては「ステップアップ解説」でもとりあげます
Q6以下の条件にすべて当てはまる組織はどれか。
・米ワシントンに本部を置く。
・国際収支が悪化した国を支援する役割を持つ。
・各国の経済を調査・分析した「世界経済見通し」を発表している。
1世界銀行
2 経済協力開発機構(OECD)
3 国際通貨基金(IMF)
4国際決済銀行(BIS)
A=3
キーワード・IMF
世界銀行と国際通貨基金(IMF)はともにワシントンに本部を置き、世界の189カ国が加盟する、国連の中の姉妹機関です。それぞれ「世界経済見通し」も発表しており、最初と3番目の条件は共通しますが、世銀が発展途上国の経済発展や貧困削減へ長期的な融資を行う機関なのに対し、IMFは国際通貨の安定を目的に、国際収支が極端に悪化した国に融資する機関です。近年ではギリシャや、アジア通貨危機時の韓国です。そのトップの専務理事には2019年10月、ブルガリア出身の女性経済学者、クリスタリナ・ゲオルギエバ氏が新たに就任しました。
経済協力開発機構(OECD)はパリに本部を置く、36カの「先進国クラブ」とも呼ばれる組織、国際決済銀行(BIS)はスイスのバーゼルに本部を置く、60カ国・地域の中央銀行が加盟
する組織です。
Q1
世界貿易機(WTO)について、正しい記述はどれか。
1WTOでの多国間貿易交渉はすべて多数決を原則とする。
2中国はロシアなどより早く、2001年に加盟した。
3知的財産権貿易のルール作りや紛争処理には関与しない。
42国間の自由貿易協定(FTA)はルール違反だが黙認している。
A=2
キーワード・WTO
世界貿易機関(WTO)はスイスのジュネーブに本部を置く、モノやサービスの貿易自由化を目指して1995年に発足した組織。約160カ国・地域が加盟します。前身は1948年に発効した関税貿易一般協定(GATT)です。「貿易交渉の場」と「紛争処理機関」という2つの機能を持ちます。
貿易交渉では2001年から「ドーハ・ラウンド」と呼ぶ貿易自由化交渉を始めましたが、「全会一致」を原則とするため難航し、妥結に至っていません。米国が引退をちらつかせる動き
WTOは「すべての国に無差別」を原則としてますが、条件を満たせばFTAや経済連携協定(EPA)を認めています。以上に関連する選択肢の記述が間違っており、正解は01年の中国加盟。ロシアは「最後の大国」として12年に加盟しました。
Q2
環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱した米国が日本と2019年に交渉、20年1月に発効した日米貿易協定について、間違っている記述はどれか。
1日本は米国産牛・豚肉の関税をTPP並みに引き下げた。
2米国は日本の自動車・自動車部品への関税を段階的に撤廃する。
3電子商取引などのルールを定める日米デジタル貿易協定を別途結んだ。
4通貨安への誘導を禁じる「為替条項」は盛り込まれなかった。
A=2
キーワード・日米貿易協定
日米貿易協定はTPPから脱退した米国が日本と改めて交渉し、モノの貿易の関税の撤廃・削減などを合意したものです。関税の削減・撤廃率が高い自由貿易協定(FTA)や、サービスや投資を含めた経済連携協定 (EPA)とは異なります。米国は自動車・自動車部品の関税を維持する一方、日本はTPPでは盛り込まれていた米国産のコメの無税輸入枠を回避しました。日本の自動車への関税の撤廃は「継続協議」となっています。
トランプ大統領が農家対策として重視していた牛・豚肉関税引き下げは盛り込まれました。2020年1月から他のTPP加盟国並みに下がっています。北米自由貿易協定(NAFTA)の改定ではカナダやメキシコが受け入れた対米輸出の数量規制や為替政策の監視条項は盛り込まれませんでした。日米デジタル貿易協定は日米貿易協定と同時に発効しています。
Q3中国の通貨「人民元」について、正しい記述はどれか。
1中央銀行ではなく政府が直接発行している。
2 完全変動相場制を採用している。
3国際通貨基金(IMF)特別引き出し権(SDR)の構成通貨である。
4米中貿易戦争が激化した2019年は急速な人民元高が進んだ。
Q4
「デジタル通貨」について、間違っている説明はどれか。
12019年6月にフェイスブックが発行計画を公表した。
2発行の裏付けとして法定通貨の資産を持つのが特徴。
3暗号資産(仮想通貨)と異なり残高や交換記録を集中管理する仕組み。
4中国人民銀行も発行準備を進めている。
A-3
キーワード・人民元
中国の通貨は中央銀行「中国人民銀行」が発行します。かつては米国との交換比率を固定していましたが、2005年に「管理変動相場制」に移行しました。ドルや円のように相場が自由に動く通貨と異なり、人民元は、中国人民銀行が毎朝公表する基準値から上下2%の変動しか認めていないため、需給に応じて変動する完全変動相場制ではありません。
2019年は米国が「米中貿易戦争」で課した高関税の影郷を和らげる人民元安(ドル高)が続きました。同年8月には米国が中国を「為替操作国」に認定 (20年1月に解除)しました。
SDRはIMFが加盟国に割り当て、外貨不足に陥ったときに使えるようにした準備通貨です。米ドル、ユーロ、日本円、英ポンドで構成していましたが、16年から人民元が加わり、「人民元の国際化」が進みました。
A=3
キーワード・デジタル通貨
デジタル通貨は紙幣や硬貨と異なり電子的に決済する通貨。ビットコインなど暗号資産(仮想通貨)と同様、残高や交換の記録を分散して管理する「ブロックチェーン」を使うことで安全性を高める仕組みです。暗号資産が利用者の信用で価値を保つ仕組みで相場が乱高下したのに対し、アンタル通貨は裏付けとして米ドルなど法定通貨の資産を持つのが特徴。スケーブルコイン(価格が安定した仮想通貨)とも呼ばれます。
民間では2019年6月、フェイスブックが「リブラ」を発行する構想を公表しましたが、マネーロンダリング(資金洗浄)への懸念な度で米国の金融当局の承認を得ていません。中国人民銀行は「デジタル人民元」の研究と発行準備を進めています。日銀や欧州中央銀行(ECB)などは20年1月、共同研究組織を作ると発表しました。
Q5
次の動車メーカーと、それぞれが強みのある海外四輪車市場の組み合わせとして、当てはまるのはどれか。
1ホンダ-欧州
2日産自動車-インド
3スズキ-東南アジア
4SUBARU(スバル)-米国
Q6次の総合電機メーカーと、強みのある技術の組み合わせと
して、正しいのはどれか。
1日立製作所-鉄道システム
2パナソニック-スマホ用画像センサー
3ソニー-顔認証システム
4三菱電機-半導体製造装置
A=4
キーワード・自動車業界
日本の乗用車メーカーが得意とする市場は、会社によって特徴があります。ホンダはいち早く米国での現地生産を始めた米市場に出し強いメーカー、 1980年代から英国で生産してきましたが欧州でのシェアは低くブレグジット」に伴い英国工場も閉鎖します。欧州に強いのはディーゼル車が人気のある、選択肢にないマツダです。急成長するインド市場ではスズキがシェア4割以上を占め、同国でのトップ。スズキはこのほか東欧のハンガリーにも生産拠点を置きます。東南アジアに強いのは三菱自動車です。
SUBARU(スバル)は年間販売台数約100万台のうち約3分の2が米国、次いでカナダと北米市場の割合が大きいのが特徴です。トヨタ自動車は北米、欧州、アジアとまんべんなく展開し、やや弱かった中国市場でも、2019年、日産自動車とホンダを上回りました。
A=1
キーワード・電機業界
4社の特徴は入門解説で触れました。消費者と直接接する分野では「家電」のイメージが残りますが、事業内容は大きく変わっています。日立製作所は国内の鉄道車両で最大手で、欧州を中心に海外でも事業を拡大。IoT事業とも組み合わせた今後の重点成長分野に位置づけています。
スマホ用画像センターはソニーが世界シェアトップ。顔認証システムは空港での出入国管理、銀行ATM、無人コンビニなど市場が拡大している分野。東京五輪・パラリンピックでも活用されます。選択肢の4社ではナソニックですが、電機大手のNECも技術力で定評があります。
半導体製造装置は、日本メーカーでは東京エレクトロンなどが手掛ける分野です。三菱電機は工場の自動化など「産業メカトロニクス」分野を強みにします。
Q1
イランに関する記述として、間違っているのはどれか。それぞれ2019年までの直近統計・調査など。
1人口はサウジアラビアに次ぎ中東で2位
2世界遺産の登録数は日本をやや上回り世界10位
31970年代には日本の原油輸入先国として第1位
4天然ガス埋蔵量ではロシアに次ぎ2位
Q2
アフリカ各国の経済の最近の特徴の説明として、ふさわしくないのはどれか。
1エジプト-政治・経済の安定
2ナイジェリア-安定した資源収入
3エチオピア-製造業への優遇措置
4南アフリカ-外資が進出しやすい環境
A=1
キーワード・イラン経済
米国とイランの対立が世界経済にとって大きな地政学リスクになっています。イランの潜在的な経済成長力や日本との関係について整理します。まず資源国として、日本の原油の最大の輸入先は現在、サウジアラビアですが、1960年代後半から70年代にかけてはイランでした。天然ガスの埋蔵量は米エネルギー省などの調査で世界2位、原油の埋蔵量は4位です。歴史をさかのぼると紀元前からペルシャが栄えた場所で、2019年までの世界遺産の登録数では日本を1つ上回る24と世界10位。宗教はイスラム教シーア派。1979年に「イスラム革命」が起こり、現在のイラン・イスラム共和国が成立しました。
人口は2018年、約8200万人とトルコとほぼ並び、中東では最多。ウジアラビアの約2.5倍で、消費市場としても注目されています。
A=2
キーワード・アフリカ経済
エチオピアが製造業主導の経済成長を図って注目されていることは入門解説でとりあげました。「アラブの盟主」とも呼ばれるエジプトは2011年の「アラブの春」で一時混乱しましたが、18、19年と成長率が5%を超すなど政治経済とも安定しています。「BRICs」と呼ばれた新興国の 角でアフリカから唯一「G20」のメンバーにもなっている南アフリカは外資の進出しやすいビジネス環境の整備を進めています。日本のトヨタ自動車、日産自動車も同国に工場を置きます。
ナイジェリアは石油輸出国機構(OPEC)に加盟するアフリカ最大の産油国ですが、国家歳入の約7割、総輸出額の約8割を原油に依存しています。原油価格の変動に左右されており、「安定した収入」は明らかにふさわしくないと考えられます。
Q3
平均寿命が3年前より低下し、最も短い国はどれか。2017年時点の比較、世界銀行。
1米国
2オーストラリア
3英国
4イタリア
A=1
キーワード・米国の平均寿命
米国の平均寿命は2017年、3年連続して前年比で伸びず2014年より0.3歳低下しました(世界銀行のデータ)。経済協力開発機構(OECD)によると、加盟国のうち16年までの数値が公表されている33カ国の中で、10年以降の平均寿命の伸びは米国が最低でした。
がんや心臓病などの疾患による死亡率は低下していますが 、薬物の過剰摂取による中毒死や自殺が増加しています。特に白人の若い男性で、医療用の麻薬フェンタニルなどの合成オピオイドによる中毒死が目立ちます。
地域的には「ラストベルト(さびた地帯)」と呼ばれる中西部が目立っており、これは2016年の前回大統領選挙でトランプ大統領の支持基盤となった地域と重なります。
Q4いわゆる「新興感染症」でないのはどれか。
1デング熱
2エボラ出血熱
3重症急性呼吸器症候群(SARS)
4鳥インフルエンザ
A=1
キーワード・感染症
新興感染症は「かつて知られていなかった、新しく認識された感染症で、局地的あるいは国際的に公衆衛生上問題となる感染症」(厚生労働日書) です。1976年のエボラ出血熱、81年のエイズ(AIDS、後天性免投不全症候群)などで、2003年には重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行しました。直近では20年に入って中国から感染が広がった新型コロナウイルスによる肺炎です。経済のグローバル化により人の移動が活発になったため、国際的な監視ネットワークの強化や情報共有が重要になっています。
デング熱は結核などとともに、かつて脅威だったものの一旦沈静化、最近再び流行し始めた「再興感染症」。2014年約70年ぶりに日本国内での感染が確認され、感染場所とみられる東京の代々木公園が一時封鎖されました。五輪イヤーである20年は一段と警戒態勢がとられています。
「首都圏以外の地方で創業し、店舗網を他のエリアにも広げてきた会社」に当てはまらないのはどれか。
1イオン
2ファーストリテイリング
3しまむら
4コスモス薬品
A=3
キーワード・企業の創業地
イオンは1758年に初代岡田惣左衛門が現在の三重県四日市市で創業(1887年に呉服店「岡田屋」に改称)したのがルーツ。ファーストリテイクリングは柳井正会長兼社長が実家の紳士服店、小郡商事(1949年創業)に入社、84年にユニクロ1号店を出店しました。91年に社名を変更しましたが、現在も本社は山口市です。ドラッグストア業界は「地方発が多く、2020年1月時点で最大手のツルハホールディングスは北海道旭川市、3位のコスモス薬品は宮崎県延岡市で薬局として創業し、それぞれ「南進」「東進」しました(現本社は札幌市、福岡市)。
カジュアル衣料品のしまむらは、呉服店を営んでいた埼玉県小川町が創業地で、同社は「首都圏発」。埼玉県小川町は関東地盤のスーパー、ヤオコーの創業地でもあります。
Q6
総務省が発表した2019年1月1日現在の住民基本台帳入口で、外国人が占める比率が最も高かった自治体はどれか。
1北海道占冠村
2群馬県大泉町
3東京都新宿区
4長野県白馬村
A=1
キーワード・外国人比率
住民基本台帳人口は自治体に住民登録している人の数で、総務省が毎年実施しています。2019年1月時点、選択肢の中で外国人数が最も多かったのは東京都新宿区で4万3068人、外国人比率は12.4%。北海道占冠(しむかっぷ)村は393人ですが、外国人比率は26.1%で最高でした。フランスのリゾート大手のクラブメッドが2017年に同村のスキーリゾート「トマム」に北海道で2つ目の施設を開業したことによる、外国人従業員の増加が主因です。やはり外国人スキー客が増えている「ニセコ」の北海道倶知安町、長野県白馬村も10%を超えていました。
群馬県大泉町は同町に工場がある自動車メーカーなどで働くブラジル人が多く、外国人比率は18.2%。2019年1月の日本全体の外国人人口は約267万人、外国人比率は2.1%と、初めて2%を超えました。
Q1
以下の3つの企業の動きに共通するキーワードはどれか。
・衣料品小売チェーンがアパレルメーカーを買収
・ファストフード大手が農業生産法人を設立
・産業用ロボットメーカーがモーターを内製
1囲い込み
2垂直統合
3水平分業
4規模の経済
A=2
キーワード・垂直統合
企業が自社の製品・サービスの川上(部品・原材料)または川下(小売り) などを手がけたり、それを担う企業を買収・合併したりする戦略を「垂直統合」と言います。衣料品業界などで製品の企画・製造から販売まで一貫して手がけるSPA(製造小売り)は代表的な垂直統合です。ファストフード店が野菜などの安定供給を図る目的で自ら農業生産法人を設立するのも同様です。産業用ロボットメーカー大手は基幹部品であるモーターを内製することで収益力を高めます。
「水平分業」は製品の開発、製造、販売といった業務ごとに各社が得意分野を担ったり、同業他社を合併・買収して「規模の経済」を追求したりするのが狙いです。これら以外のキーワードの「囲い込み」は、顧客に対するマーケティング戦略です。
Q2
以下の企業の取り組みの中で、目的が他の3つと異なるのはどれか。
1トヨタ自動車:静岡県裾野市に自動運転車などを走らせる「スマートシティー」を建設
2全日本空輸:JR東日本と組み1つのスマホアプリ上で鉄道と航空のチケット購入ができるサービスを計画
3KDDI:経路検索のナビタイムジャパンと業務提携し通信・交通ビッグデータを共同で分析
・ヤマト運輸:ディー・エヌ・エー(DeNA)と共同で自動運転車による配送を実験
A=4
キーワードMaaS
4つの選択肢の中の3つに共通する要素をまず探します。トヨタ自動車とヤマト運輸の事例は自動運転車で共通しますが、他の選択肢とつながりません。全日本空輸の事例は「鉄道」と「航空」という移動サービスを1つのアプリで組み合わせて利用する点で、KDDIの事例と共通しそうです。 トヨタ自動車の取り組む「スマートシティー」は一般に、自動運転車を走らせるだけでなく、さまざまな移動手段を最適な組み合わせで提供することが大きな柱になっています。いわゆる次世代移動サービス「MaaS」で、これが3つの事例に共通する要素・目的として浮かびます。
「ロボネコヤマト」と名付けて神奈川県で実験したヤマト運輸の事例の要素は「移動」でなく「配送」。運転者のいらない車を使うことによる手不足対策が目的と考えられます。
Q3
次のサービスに共通するキーワードとして、最もふさわしいのはどれか。
スポティファイ、エアークローゼット、コーヒーマフィア、ネットフリックス
1フリーミアム
2サブスクリプション
3プラットフォーマー
4ロングテール
A=2
キーワード・サブスクリプション
ポティファイはスウェーデンの企業が展開する聴き放題の音楽配信、アークローゼットは月に一定額を払うと借り放題にもなる洋服のレンタル、コーヒーマフィアも一定額を払うと飲み放題になるサービスです。動画配信のネットフリックスは前章の練習問題にも登場しました。それぞれ定額料金を支払って継続利用する「サブスクリプション(継続課金)
モデル」のサービスです。さまざまな分野に広がっており、2019年には定額を払えば新車に乗り換えられるトヨタ自動車の「KINTO」などのサービスも登場しました。
なお、フリーミアムは、基本サービスは無料だが追加サービスを求める顧客には有料となるようなビジネスモデル。ロングテールは、売り上げへの貢献度が低い下位商品を丹念に集めて収益を稼ぐモデルを指します。
Q4
以下の企業の動きに共通するキーワードとして、最もふさわしいのはどれか。
・低価格衣料品店 GU(ジーユー):スニーカーの品ぞろえを充実
・カシオ計算機:白い「G-SHOCK」腕時計が人気
・作業服専門店ワークマン:新店舗「ワークマンプラス」を展開
1インバウンド
2プライベートブランド
3アスレジャー
4働き方改革
A=3
キーワード・アスレジャー
作業服専門店のワークマンが2018年から展開したカジュアル衣料店「ワ ークマンプラス」は、機能性が高く低価格のファッション衣料を提供し、それを街着として着こなす女性を「ワークマン女子」と呼ぶブームになりました。これは「アディダス」や「ナイキのスポーツウェアを街着として着る「アスレジャー」と呼ばれる世界的なファッションの流行も背景にしたものです。スニーカーとの組み合わせが要素の1つで、GUがスニーカーの品ぞろえを充実するのはその流れ、カシオの「G-SHOCK」は「黒」がベースカラーですが、スポーツウェアに合う「白」も人気です。
東京五輪・パラリンピックもあり、2020年もブームは続きそうです。なお「働き方改革」ではオフィスの服装のカジュアル化や、『健康経営』と関連して推進された「スニーカー通勤」などの動きがあります。
Q5
想定する顧客の年齢層が他の3つと異なると考えられるのはどれか。
1損害補償会社がコンビニで加入期間1日単位の自動車保険を販売
2紳士服チェーンが低価格オーダースーツブランドを新展開
3日本酒メーカーが「スパークリング日本酒」を発売
4家電メーカーが「世界最軽量」をうたう紙パック掃除機を発売
A=4
「年齢」の視点から、4つの選択肢のうち3つの事例に共通する要素を探します。1日単位の自動車保険は、マイカーを持たない若者が家族や友人から自動車を借りて運転する場面が想定されます。神士服の販売は苦戦していますが、若者層には、手ごろな価格であれば、体にフィットするオーダースーツが受けています。日本酒メーカーの新製品に発泡する「スパークリング日本酒」が目立ちますが、日本酒になじみの薄い消費者の開拓が狙いと考えられます。このように考えると、共通するのは「若者」です。
「世界最軽量をうたう紙パック掃除機」は、パナソニックが「Jコンセプト」と名付けたシリーズで展開する、やや高額な家電製品の1つです。家事の負担を減らしたい女性の需要も想定されますが、「年齢」の視点からみるとシニア層を想定した商品と考えられます。
Q6
日本の「ミレニアル世代」の特徴の記述として、ふさわしいのはどれか。
1将来のインフレ期待が高い世代である。
2他の世代より貯蓄への関心が高い傾向がある。
3ネット上でも他人とかかわるより1人で楽しむ傾向がある。
4先進諸国の同世代と対照的な特徴を持つ世代である。
A=2
キーワード・ミレニアル世代
ミレニアル世代とは、2000年(ミレニアム)以降(21世紀)に成年を迎えた世代で、米国では1981~96年ごろに生まれた世代とされます。 諸説ありますが日本では、平成初期(1989~95年)生まれの世代(JTB総合研究所)などとされます。
パソコン、スマホなどに最初からなじんだデジタルネイティブな世代であり、交流サイト(SNS)で知人と経験を「共有」することは、世界的に共通するこの世代の特徴です。特に日本ではバブル崩壊以降のデフレ経済の中で過ごしてきたためインフレ期待が低く、消費より倹約・節約を好み、ローンを組み自動車を買うなどした他の世代に比べて貯蓄への関心が高い傾向があります。こうした世代が社会・経済の中核を担い始めたことがモノの消費が振るわない背景の1つと分析されています。
Q1
日本の利益が上昇した場合に経営への影響がプラスになると考えられる業界はどれか。
1電力
2生命保険
3鉄道
4不動産
Q2
2018年までの米国の政策金利引き上げで起きたと考えられるのはどれか。
1 米国の景気回復の加速
2 新興国からの資金流出
3日本の対米輸出減少
4人民元の対ドル相場上昇
A=2
キーワード・金利と業界
電力、鉄道は設備投資のため、多額の資金を長期で借り入れます。開発のための土地をまず仕入れるデベロッパーなど不動産業界も同様です。2016年から始まったマイナス金利政策による金利低下はこれらの業界にメリットがあります。金利水準全体が下がることで銀行からの借入金利が下がるだけでなく、社債を発行して資金を調達するにも有利です。18年の社債発行額は3年連続で10兆円を超えました。
一方、生命保険業界は個人や企業から集めた保険料を国債や株式、外国証券などで運用し、保険金や給付金を支払うのが基本的な構造です。超低金利政策で金利が下がるのは銀行と同様、経営にマイナスで、外国債券などへの運用シフトを進めています。金利が上昇する局面になると以上の逆になると考えられます。
A=2
キーワード・米金利
米国の政策金利は2015年12月から引き上げが始まり、17年に3回、18年に4回引き上げられました。その後、引き下げに転じた経緯は第1章のステップアップ解説で触れた通りです。
利上げを続けている間も米国の景気は回復を続け、成長率も高まりました。しかし、政策金利引き上げは景気の過熱を防ぐためなので、その効果でというわけではありません。また、日本と中国から見ると、米国との金利差が広がるため、対ドル相場で円安、人民元安の方向に働きます。円安は日本の対米輸出増加につながります。
米国の金利が上がると起きるのは、新興国に投資されていた資金(ドル)が米国に引き揚げられやすくなることです。2018年にはアルゼンチンやトルコで通貨が急落しました。
Q3
安倍晋三政権が進め、
が進めている「全世代型社会保障」政策に向 理題として、当てはまらないのはどれか。
3
けた検討課題と
る高齢者が70歳まで働けるようにする働きかけ
の希望する高齢者が70
の年金受給開始年齢の選択肢の拡大
動く高齢者の年金を減らす「在職老齢年金」制度の見
直し
4 後期高齢者の医療費の自己負担割合の据え置き
中小企業経営者の後継者難で休廃業・解散が増加している。 これに関する記述として、正しいのはどれか。
U休廃業・解散件数はここ数年、倒産件数の4~5倍に のぼる。
1休廃業直前期の決算は、8割以上の企業が赤字である。
ハ発業企業の経営者の平均年齢は若年化が進んでいる。
3事業承継目的の
共継目的のM&A(合併・買収)の件数は 2012年
からほぼ横ばいだ。
キーワード全世代型社会保階
A-4
保障予算を是正し、 3年10月の消費税率引き上げ
「全世代型社会保障」とは、高齢者に偏った国の社会保障予算を 現役世代の支援を手厚くする政策です。2019年10月の消費税窓口 と同時に実施した幼児教育無償化が柱の1つでした。高齢者に対 年齢でなく、能力に応じた負担へと見直しを進める政策になります。 歳を超えて働く意欲のある人の就業機会を確保すること、年金受給開始年 齢の選択肢を75歳まで広げること、一定以上の収入がある高齢者の在へ を減らす在職老齢年金を見直し、働くインセンティブを失わせないように することは、政策に当てはまります。
医療費については、75歳以上であっても一定以上の所得がある人には、 窓口で現在原則1割の自己負担を2割に引き上げることが検討されていま す。「据え置き」とある4の選択肢が当てはまりません。
A=0
キーワード・休廃業・解散、事業承継 東京商工リサーチが2020年1月発表した調査結果によると、19年に休 廃業・解散した企業は全国で4万3348社でした。同社集計の19年の企業 倒産件数は8383件で、15年以降、倒産件数の4~5倍の企業が休廃業・ 解散しています。休廃業企業の経営者の年齢は16年までは60代が最多で したが、17年以降は70代が最も多くなり、19年は4割に迫っています。 また、休廃業の直前期の決算での純利益は19年、61.4%が黒字でした。 黒字企業の退出は日本経済にとっては損失であり、「稼ぐ力」のある中小 企業の円滑な事業承継が課題になっています。
事業承継目的のM&Aは増加しています。経済産業省は2019年12) 親族内に後継者がいない中小企業を社外に引き継ぎやすくする「第三者事 継」をさらに大幅に増やす目標を掲げた支援策を発表しています。
の年に激化した「米中貿易戦争」の直接の影 みの価格が下落したと考えられるはどれか。
12018~19年に 響で、米国内の価
○アルミニウム 2鉄鋼
3原油
4大豆
100 原油の国際相場が下がる要因と考えられるのはどれか。
1 シェールオイルの開発鈍化
2 石油輸出国機構(OPEC)の減産強化
3 中国・インド経済の成長減速
9米中の貿易問題での歩み寄り
A=4
キーワード大豆
アルミニウムと鉄鋼は米国が2018年、中国への制裁関税発動に生 実施した関税引き上げにより値上がりし、米国の自動車メーカーの怒号
圧迫しました。原油価格は貿易戦争の影響で世界経済の成長が鈍化する
低下要因になりますが、「直接」の影響ではありません。
大豆は米国が最大の生産国で、その最大の輸出先が中国です。貿易戦争 前の米国の対中輸出の内訳は、最大の航空機に続き、大豆が乗用車を上回 っていました。中国は2018年7月、米国産に25%の報復関税を発動して ブラジルなどから輸入を増やし、米国産大豆の価格は下落しました。
大豆の主な生産地である米国中西部はトランプ大統領の支持基盤に当た ります。米中が歩み寄り2020年1月署名した「第1段階の合意」には米 国の農産物の輸入拡大が盛り込まれました。
A=3
キーワード原油価格
需要と供給への影響を考えます。世界の原油市場で供給が増えているの は米国のシェールオイルです。開発が鈍化すれば供給が減ります。2020 年9月で発足60年となる石油輸出国機構(OPEC)の減産強化は、価格維 持のため供給を絞るのが目的です。以上は供給面から価格が上がる要因で す。20年1月に「第1段階の合意」があった米中の貿易問題の歩み寄りは、 中国をはじめ新興国の経済にはプラス要因で、原油消費が増えます。こち らは需要面から価格が上がる要因と考えられます。
中国・インド経済の減速は両国の原油消費の減少につながるので、これ は需要面から価格が下がる要因です。中国は世界一、インドも日本を上回 る原油輸入国です。シェール開発など原油を巡る事情については本章スプ ップアップ解説でもとりあげます。