樹木医と樹木医補の違いは何? – 試験範囲や関われる業務についてチェック

樹木医について調べていくと、「樹木医補」と似たような言葉を見かけることが多いと思います。

似たような言葉なので、混乱をしている方もいるかもしれません。

 

樹木に関連する資格なので、資格取得後の活動は、同じということもあります。

しかし、その一方で樹木医と樹木医補では、資格を取得する手段等にも大きな違いがあります。

今回は、樹木医と樹木医補の違いについて見ていきたいと思います。

出版社 ‏ : ‎ 日本緑化センター; 改訂4版 (2014/6/1)
、出典:出版社HP

 

樹木医・樹木医補とは?

 

樹木医

樹木医とは、簡単に言えば、「樹木専門の医者」のことです。

病虫害や環境汚染等により衰えた樹木に対して、樹木周辺の環境整備や薬品類を使った処置を行うことで、樹木の保護を行なっています。

 

また、「医者」としてだけではなく、「樹木の専門家」としても活動をしています。

樹木の調査や研究、公園緑地の計画・設計といったことに携わりながら、

樹木の保護や育成、管理を行なったり、樹木に対する知識の普及や指導といった様々な活動にも携わっています。

 

このように、樹木医は、街路樹や公園樹木、庭木といった日常生活でよく見かける樹木から、

神木や天然記念物に指定されている樹木など、幅広い場所で活躍をしています。

 

樹木医補

樹木医補は、文字から想像しやすいとは思いますが、樹木医の補佐が主な活動となっています。

 

樹木医が行う、樹木の保護・育成活動を補佐する能力が必要となります。

樹木医補になるまでに培った知識と技術を活かしながら、自然の保全・緑化などに関わる活動を行い、樹木医になるための能力を養うことも求められています。

 

樹木医補は、樹木医の活動を支える「縁の下の力持ち」「見習い」でありながら、自身も樹木医を目指している、と言えるでしょう。

 

樹木医・樹木医補のなり方

 

樹木医・樹木医補の資格を取得するには、日本緑化センターで認定を受ける必要がありますが、

認定を受ける際の手順に大きな違いがあります。

 

まず、樹木医補の資格取得の流れを見ていきましょう。

 

樹木医補

樹木医補の資格を取得するのに、複雑な流れはありません。

それは、樹木医補資格養成機関を卒業した学生を対象としているためです。

 

樹木医補資格養成機関に認定・登録された大学等で、講義科目6分野14単位以上、実験・実習科目4分野4科目以上を履修し、卒業することで、樹木医補資格の要件を満たすことができます。

 

この要件を満たしていた場合には、日本緑化センターに申請書等を提出し、審査をうけます。

その後、審査に合格すれば、樹木医補として認定されます。

 

樹木医補は、資格養成機関として認定・登録を受けた大学を卒業する必要がありますが、その後に、樹木医を目指す場合、試験で優遇措置を受けることができます。

優遇措置については、樹木医の資格取得の流れと一緒に説明していきます。

 

樹木医

樹木医の資格取得は、樹木医補とは異なり、応募資格者の対象が広く、選抜試験と言われる第1次審査、研修等が行われる第2次審査に合格する必要があります。

 

まず、樹木医の資格取得には、以下の要件を満たしている必要があります。

 

1樹木の調査・研究、診断・治療、保護・育成・管理、公園緑地の計画・設計・設計監理等に関する実務や研究に従事していた期間が、7年以上の者であること。

2樹木医補の資格認定を受けてから、実務や研究に従事していた経験が1年以上の者であること。

 

ここで、先ほど述べた樹木医補の優遇措置が見られます。

通常であれば、造園や林業、緑化関係の職員、大学や研究所など、

樹木に関連する会社や組織に所属しながら、7年以上の実務経験を積む必要があります。

 

一方、資格養成機関を卒業後、樹木医補の認定を受けて、1年以上の実務経験があれば、

樹木医の応募資格を満たすことができます。

つまり、実務経験年数が7年から1年に短縮することができます。

 

次に、第1次審査を受けます。

この審査では、筆記試験に加えて、書類による業績審査が行われます。

この段階で、90~100名までに絞られます。

 

第1次審査に合格すると、第2次審査になります。

この審査では、講義や実習が含まれる2週間程度の研修が行われます。

この研修では、講義・実習に関する筆記試験と樹種識別に関する適性検査をします。

 

筆記試験と適性検査に合格すると、面接と資格審査が行われ、

これら全てに合格すると、樹木医として登録・認定がなされます。

 

樹木医補の場合、資格養成機関を卒業し、申請をするという流れでしたが、

樹木医の場合は、2段階の審査を経て、登録・認定という流れになります。

 

また、樹木医補の資格を所持している場合、樹木医試験の受験料が一部免除される、

という優遇措置もあります。

 

仕事の違いは?

樹木医と樹木医補の仕事に大きな違いは、あまりないと思われます。

樹木医補は、樹木医が行う樹木の保護・育成・管理などの活動を補佐したり、

緑化に関わる業務や活動を行ったりと、樹木医の仕事と大きな違いは見受けられません。

 

どちらも、樹木に関わる仕事を行っているという認識でも、大きなズレを感じることは少ないと思われます。

 

給料は?

近年は、自然環境に対する関心が高まっている傾向にありますが、

樹木医・樹木医補という資格はあまり知られていません。

そのため、樹木医・樹木医補に依頼する側に、活動にかかる経費に対する理解もあまり得られていない、という実情もあるようです。

 

このような事情もあり、樹木医・樹木医補という資格だけで、樹木医・樹木医補としての

仕事を専業にすることは、非常に困難です。

 

そのため、これらの有資格者は造園業といった別の本業を行う傍ら、

樹木医・樹木医補としての活動を行っています。

 

よって、樹木医・樹木医補の給料は、就職先によるというものでしょう。

民間の造園業、研究機関や自治体で働いているというケースもあります。

本業によって、給料は異なるので、資格による差はあまり大きくないでしょう。

 

そうすると、造園業の業務を行う際に、資格手当がつくことがある、

というような程度であり、資格による給料の差も大きく異なることは、少ないと思われます。

 

樹木医と樹木医補の違いのまとめ


今回は、樹木医と樹木医補との違いについて見てきました。

仕事の内容や給料については、大きな違いはあまりありませんが、

資格を取得する際に、応募資格者や試験に大きな違いがあります。

 

樹木医補を経て、樹木医を目指すことと、樹木に関する業務に携わりながら樹木医を目指すことには、それぞれ応募資格の要件が異なります。

樹木医の資格取得を目指す際には、どちらが、自分に合っているのかを踏まえながら、考えると良いのではないかと思います。

 

出版社 ‏ : ‎ 日本緑化センター; 改訂4版 (2014/6/1)
、出典:出版社HP

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