硬筆書写技能検定1級勉強法 – 合格するための効果的な勉強法とは?

1級の概要

  • 内容:高校生・大学生・社会人レベル 高度

実技問題

・速書き

・漢字10字を書く(楷行草三体)

・縦書き

・横書き

・自由作品(和歌、漢詩などより一つ選択)

・掲示文(縦書き)

理論問題

・常用漢字を旧字体と書写体に直す(各5字)

・草書(一字ずつ)と古典(主として古筆)を読む

・漢字の添削(一字ずつ)

・書道史(作者と作品合わせ)

・漢字の字体

・歴史的仮名遣い

2019年度 硬筆書写技能検定1・2級合格のポイント

狩田 巻山 (著)
日本習字普及協会 (2019/4/5)、出典:出版社HP

 

公式が出している問題例と合格答案例

https://www.nihon-shosha.or.jp/pdf/example/mondai/kohitsu1/q_k1.pdf

https://www.nihon-shosha.or.jp/pdf/example/touan/kohitsu1/a_k1.pdf

 

  • 受験料:6,500円

 

  • 配点と合格基準

実技 535点以上/600点満点中(89%)

理論 315点以上/400点満点中(79%)

 

各科目の内容と勉強法

様々な種類の問題が出題されますが、どの問題にも共通して「速く丁寧に」書く練習をすることが合格への一番の近道です。とは言っても、特殊な問題にはそれに応じた対策法もありますので、そのような問題に焦点を当てて解説していきます。

また、準1級と同様に理論問題も記述式になっています。上に述べたように合格基準も大変高くなっているので、十分に対策をすることが必要です。

 

実技問題第1問:速書き

この問題は、とにかく書き終えることです。4分で135字程度の文章を書くことになり、書き終わらないと最低点になります。字の形をできる限り丁寧に書く意識は持ちながら、時間内に書き終えられるように練習しておきましょう。また、速書きは受験者全員で一斉に行われる試験です。最初に1分間の黙読があり、次に4分間で筆記をします。それが終わったら解答の回収と確認が行われ、受験者は85分間で残りの問題を解くことになります。

 

実技問題第5問:自由作品(和歌、漢詩などより一つ選択)

和歌や詩歌、漢文が掲載されており、それを見て書き写す問題です。書体や書きぶりなどは「自分の得意な形で書きなさい」と指示されます。これだけでは、文の種類が変わっただけで、むしろ書体等の縛りがない分、取り組みやすいと言えるでしょう。

しかし、問題は回答欄にあります。その回答欄とは、「余白」です。余白に書かなければならないということは、第3問のように線が引かれているわけではありません。さらに「自由にわくの大きさや縦横の割合などを考え、絵筆で外わくを囲った体裁のよい形に仕上げなさい」とあるため、掲示文のような要素も兼ね備えています。

もちろんレイアウトを含めた演習を積むことは必要ですが、その中で、自分が得意な文の種類は何なのかを明確にしておくことが大切です。他にも難しい問題はありますし、この問題だけに演習時間を費やすことも非効率的です。したがって、得意分野に焦点を絞って演習に取り組むと良いでしょう。

 

実技問題第6問:掲示文(縦書き)

準1級からは、掲示文は縦書きで出題されます。使用するマーカー等は変わっていませんが、レイアウトに関しては縦書き用に再考しなければなりません。ですが、縦書きになっても、横書きの時と同様に、用紙全体と分量、字の大きさとのバランスを考慮して鉛筆でレイアウトする練習をすれば、それほど問題ではないでしょう。

 

理論問題第1問:常用漢字を旧字体と書写体に直す(各5字)

これまでと違い、常用漢字から旧字体と書写体に直す問題になっています。したがって、旧字体と書写体の字体を知っていなければ解答できません。『硬筆毛筆書写検定理論問題のすべて』には、参考資料として旧字体や書写体が掲載されているので、それを参考に覚えてしまいましょう。『毛筆書写技能検定の手引きと問題集(今は出版されていない?)』には、「旧字体121字、書写体201字を覚えてしまえば満点を目指すことができる」とあるので、資料を参考に自分でまとめてしまえば、覚えることができるでしょう。ただし、旧字体と書写体を書かなければならないので、丁寧に書く練習をしましょう。
2019年度 硬筆書写技能検定1・2級合格のポイント

狩田 巻山 (著)
日本習字普及協会 (2019/4/5)、出典:出版社HP

 

理論問題第2問A:草書(一字ずつ)を楷書に直す

この問題は一字ずつ草書で書かれた漢字を楷書に直す問題です。出題の対象範囲が広いため、高得点は期待しない方が良いでしょう。得点源になる他の問題の対策がある程度完了したら、この問題の対策をするようにしましょう。対策法としては、『大人が学ぶ小学校の漢字』に取り組むのが良いでしょう。中学校編も出版されていますので、時間があれば取り組むと、さらなる高得点につながります。

 

理論問題第2問B:古典(主として古筆)を読む

古筆を平仮名で書き直す問題です。この対策としては、古筆を読むことが最適でしょう。古筆を読むのが初めての方にとっては、『高野切第三種(こうやぎれだいさんしゅ)』という作品がおすすめです。というのも、この作品はわかりやすい変体仮名で書かれており、読みやすいからです。8割くらい読めれば合格点レベルですので、合格を目指すのであれば完璧を目指す必要はありません。慣れてきたら、少し難しい『高野切第一種』も読んで、これも8割くらい読めるようにしましょう。ここまできたら、苦手な変体仮名もある程度わかってくると思いますので、それらをまとめて読めるようにすれば、更に合格に近づきます。

 

理論問題第3問A:漢字の添削(一字ずつ)

小学生で習うような漢字が5字書かれていますが、それらの字形が崩れています。それらを添削して正しい字形にする問題です。1級を受験する方であれば楷書の正しい字形は身についているかと思いますが、崩れている部分をきちんと指摘できるように、もう一度しっかり確認することにしましょう。これまではお手本を見ながら書いて練習していたかもしれませんが、この問題では自分がお手本を書く必要があります。したがって、お手本を見ないで書き、その字形が正しいか確認する方法で演習をすると良いでしょう。

 

理論問題第3問B:書道史(作者と作品合わせ)

有名な書籍の名前と作者名を対応させる問題で、得点源といっていいでしょう。なぜなら、対象範囲が狭く浅いにもかかわらず、消去法で解答できる問題形式だからです。ただし、準1級は5つの書籍名と5人の作者名を対応させるものでしたが、1級は書籍名の選択肢が8つに増えています。とはいえ、出題の対象範囲は狭いので、先ほどあげた『硬筆毛筆書写検定理論問題のすべて』に載っているものを全て覚えれば問題ありません。赤シート等で暗記できるようにまとめていくと良いでしょう。

 

おすすめ参考書

・日本書写技能検定協会が出している販売物一覧
2019年度 硬筆書写技能検定1・2級合格のポイント

狩田 巻山 (著)
日本習字普及協会 (2019/4/5)、出典:出版社HP

 

・日本書写技能検定協会が出している過去問集【1回分】

 

・日本書写技能検定協会が出している過去問集【3回分】

 

・日本書写技能検定協会が出している公式テキスト

 

 

・『大人が学ぶ小学校の漢字』

宮澤正明
出版社 ‏ : ‎ 二玄社、出典;出版社HP

 

『高野切第三種(こうやぎれだいさんしゅ)』

出版社 ‏ : ‎ 二玄社、出典;出版社HP

 

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